起業したきっかけは何ですか?

鎌田 広大鎌田弊社(株式会社プロテック)を立ち上げるまでに、僕は過去に3社で働いた経験があるんですね。

すべての会社ではないのですが、あんまりいい環境ではなかった、というかブラック企業っぽかったんですよ。労働環境が悪くて。休みがないとか、終電まで業務とか、残業とか、時には泊まりとか。
結構それが当たり前で、残業はもちろんサービス残業みたいな。というあまり労働環境がよろしくない会社に勤めてたんですね。

システムエンジニアって、本来楽しい仕事のはずです。少なくとも僕はそう思っています。
それなのに、労働環境のせいで仕事に対してすごくネガティブになってしまっている自分がいて、なんかもったいないというか。

もっと良い環境で自分のやりたい仕事をしたいなと思って会社を立ち上げました。
そして、うちに入ってくる社員に対しては、そういう良い環境を提供したいと思っています。

ツライご経験が、良い労働環境を作ろうと言うエネルギーになったのですね。素敵です。

起業するに当たって一番苦労したことは?

鎌田 広大鎌田苦労だらけですけどね。
日々苦労の連続ではあるんですけど、その中でも一番は人間関係ですかね。

弊社は「働きやすい会社をつくる」がテーマなのですが、人によって「働きやすい」と思う感性って違うんですよね。
ほとんどの社員には満足してもらっています。その理由としては「残業代がしっかり出る」だったり、「残業が少ない」とか「有給を取りやすい」とか。

一方で、それ以外の所にベクトルが向いてる社員もいます。
例えば、「新しいサービスで世の中にイノベーションを起こしたい」とか、「経営戦略を見直したい」など。当然、それらには大きなリスクが伴ったり、大事にしていた社風が変わってしまうこともあるため、私の判断で却下することがありますが、そのような対応をした場合、「働きにくい」といったようなことを言われます。

やっぱり人によって感性、方向性が違うので、すべての面を全員に合わせることができないという点は難しいなとは思っています。

それが対社内。
対社外についても、やはり会社や人によって常識が違うので、それが理由で良い方向に働くこともありますが、折り合いがつかずに失注したり、逆にこちらからお断りしたケースも複数件ありましたね。

まとめると、「対人関係」っていうところがなかなか難しいですね。

社長になってから一番嬉しかったことは?

鎌田 広大鎌田これも全部「労働環境」とか「働きやすさ」という話に繋がっちゃうのですが、社員やその配偶者から感謝の言葉を貰えたことですかね。

本を書くに当たって社員にヒアリングをしたのですが、やはりその「働きやすい」という点がすごく良いと思ってくれているみたいです。

あと、配偶者の方がわざわざ僕のところに挨拶しに来てくれたりとか。
愛媛県でリモートワークをしていた社員が過去にいて、その社員が奥さんと一緒に僕に「挨拶したい」って来てくれて、わざわざ愛媛から感謝の言葉を伝えに来てくれました。もちろんそれだけが目的でなく、旅行も兼ねてなんですけど。

やっぱりそういう「良い労働環境を用意してくれてありがとう」のような声を聞けるのが一番嬉しいですね。

吉泉働きやすさ、良い労働環境の追求にとてもフォーカスされてますね。

鎌田 広大鎌田はい。
今の時代、仕事を見つけるより人を見つける方が大変だと思うので。
誰でも良いのであれば採用はできますが、やはり良い人に来てもらうことが難しいので、その点は非常にフォーカスしてますね。

吉泉良い人というのはどのような人でしょう?

鎌田 広大鎌田きれいごと抜きで結論から言ってしまうと、もちろん「会社に利益をあげてくれる人」です。それが一番ではあります。

ただし利益というのは、「お金」だけじゃなくて「会社に良い影響を与えてくれる」という点もあります。
良い影響というのは、「売り上げ」という側面でもそうだし、「いてくれると場が和む」とか、そういう社風的な意味も重要ですね。
そういう人が「良い人」だと思います。

そんな鎌田さんは「従業員が働きやすい会社とは?」という書籍を執筆しています。Amazonをチェック!

社長として一番大切にしていることは?

鎌田 広大鎌田労働環境ですね(笑)
なんか全部一緒になっちゃうんですけど。ほんとそこに尽きます。

今後のビジョン、目標

鎌田 広大鎌田各社員が「自分がやりたい仕事」ができる環境を用意したいと思ってます。
例えば、ディレクションをやりたかったらディレクション、ウェブ系の仕事をやりたかったらウェブ、アプリだったらアプリ、みたいな。

自分がやりたい、能力を高めていきたいと思うような仕事を準備してあげたいっていうのと、あとは現実問題お金って大事じゃないですか。その点においても、やりたいことを安心して実行できるような会社にしたいと思ってます。

吉泉その為に今、具体的にやられているアクションはありますか?

鎌田 広大鎌田自社サービスの開発に取り組んでいます。

当然、きれいごとだけじゃ食っていけないので、収益基盤というか、労働時間に依存しない収益モデルが必要だと思っています。
ですので、自社サービスの開発に取り組んだりとかはしてますね。

吉泉どういったサービスを開発されていたのですか?

鎌田 広大鎌田熱帯魚や水草をフリマで販売できるようなサービスを作りました。

熱帯魚とか水草って、めちゃめちゃ増えるんですよ。
そういうのを個人売買してる方って実はたくさんいて、ヤフオクでも熱帯魚だったり水草が月間2億ぐらい取引きされているんですよ。
そこに目をつけて、そのサービスを作りました。

お魚大好きなイメージ、あります。

社長になりたい若者へメッセージ

鎌田 広大鎌田自分がやりたいことより、誰かの困っていることを助けてあげる。っていうところをサービスの主軸、事業の主軸にして欲しいなと思います。

どうしても「お金第一」になってしまうと、「事業やサービスとして良いものを作ろう」ではなく「いかに稼いでやろうか」ということになってしまうので。
そうなると結果的にお客さんも「この人は信用ならないな」となってしまい、うまくいかないと思うので、「稼ごう」よりも「解決してあげよう」を主軸において欲しいと思います。

吉泉以前インタビューをした社長さんも『(ビジネスは)誰の為にやるか、を先に考えたほうが良い」と仰っていました。
それから僕自身「誰のためにやってるんだろう」を考えてるんですけど、めちゃめちゃ難しいんですよね。

その点について鎌田さんがどういう風に考えられているか、お伺いしたいです。

鎌田 広大鎌田エンジニア目線で言うと、エンジニアって例えば「アプリ作りたい」とか「新しい技術を使いたい」とか、そっちが先行しがちなんですけど、それって「お客さんがいて初めて成り立つこと」だと思うんですよ。ビジネスとして。

エンジニアのやりたいことを一方的に押し付けても、当然お客さんは嫌がります。
そうではなく例えば、お客さんから「こういうシステムを作りたいです」と相談された際に、『それだったら自前で作るよりも、既にある外部サービスを紹介してあげた方がお客さんにとってはプラスなんじゃないか。費用も抑えられるしすぐ始められるし良いんじゃないか』みたいな視点で提案できるかどうかですね。

吉泉寄り添うってことですね。お客さん第一と言うか。
参考になります、ありがとうございます!

鎌田 広大鎌田先ほどの「社長として一番大切なこと」の質問で、「労働環境」とお伝えしましたが、僕は「信用」というのもすごく大事だと思っています。

自分がやりたいことを押し付けたら信用もクソもないので、それよりは、「本当にお客さんの為になること」を提案して差し上げるということです。
そういう行動が、信用を勝ち取って結果的に長い付き合いになるんだと思います。