起業したきっかけは何ですか?

吉峰 和寿吉峰うちはシステム開発会社なのですが、僕はもともとエンジニアでした。
システムエンジニアをしていて、開発の現場にいました。お客さんとも話をするし、当然開発のリーダーとしてエンジニアをまとめる立場でもあり。

その中で、お客さんの気持ちに応えたい、応えなきゃいけないよねっていう感覚があって。
日々、お客さんの要望をエンジニアに伝えて、最適な業務を遂行する中で、どちらからも頼られてたという感じかな。
お客さんも僕を頼ってるし、エンジニアも僕のチームにいたので「この人について行きたい」みたいな感じの関係性ができていました。
そんな形で貢献をずっとしていたら、いつのまにか真ん中にいた僕が「あ、これビジネスにできるよね」っていうことで起業したような感じかな。

だから「社長になりたい」っていうよりは、結果的に「社長になれた」っていう感じです。
起業した時にお客さんは既についていたし、エンジニアもついていた。当時8人までは僕が「会社つくる」って言ったら「入ります」って言ってくれたエンジニアが集まってくれていたので、それがいちばん大きいかな。

つまり、人に施していたらそういう関係になりました、のような感覚です。

吉泉吉峰さんの人望が厚かった、という認識で間違いありませんか。

吉峰 和寿吉峰まあ一言で言うと(笑)
そんな簡単なアレじゃないんだけど(笑)

良い意味で「いい人オーラ」が溢れておりました。

起業するに当たって一番苦労したことは?

吉峰 和寿吉峰いやもう常に苦労しているような気がするけど・・・。
起業当初は、社長とは言いながらも僕も開発の現場にいたので、社長とか経営者っていうよりは「親方」でした。

吉泉なるほど、親方なんですね。

吉峰 和寿吉峰そうそう、「現場を仕切る人」。

だから経営者としてはぜんぜん機能していなくって。
開発以外の業務を強いて言うと、開発の仕事を僕が引っ張ってくるとか。社長の仕事っていうよりは営業ですよね。
そうやっていたんですけど、このままだと会社っていつか衰退するよねって。みんな年取っていくし。「ああ、ちゃんと会社をつくらなきゃ」っていうことで、僕は開発の業務はいっさい辞めました。
それが2016年なんですよね。2009年に会社つくってから2016年で7年。7年間エンジニアやりながら、親方やってて。
2016年で「ちゃんと組織をつくろう」みたいな感じで、採用を始めたりオフィスも借りたり、そこから「経営」を本当にやりだしたんだけど、まず、ビジョンが描けないんですよね。

吉泉ビジョンですか。

吉峰 和寿吉峰そう。自分のこの会社を将来どうするのかみたいな。

そのビジョンが全然描けなくて、なんかただ「受注します」「やります」みたいな。
一体全体、自分がどこを目指してるのかがわからなくて、それをつくるのにめちゃくちゃ時間がかかったかな。
あと、いざつくっても社員に響かないんですよね。そんなことって。

吉泉へぇー、そういうもんなんですね。

吉峰 和寿吉峰うん。だから理念もビジョンもまったく浸透しない。
「社長がなんか言ってるよねー」くらい(笑)

あと採用、教育、事業計画つくったりとか、それらをやるのにすごく時間がかかりましたね。なんせ人は動かないんですよ、思った通りには(笑)
プログラムは組んだとおりに動くんだけど、人って「わかりました」って言っても忘れるじゃないですか。その時はわかってると思うんだけど、蓋をあけたら「やってません」。そんなのがめちゃくちゃ続いた気がしますね。

でもまあ、それはそうだよなって思って。
元々が「こういうこと実現したい」みたいに集まった人たちじゃないので。どちらかと言えば「なんかこの人のチームにいたら仕事も来るし、多分この人いい人だし」みたいな感じの集まりでした(笑)

友達との学校のサークルみたいな感じだったんですね。サークルの友達とか先輩後輩、みたいな関係性です。
だから良い意味で一枚岩だったんだけど、同じ目的を共有する組織という感じではありませんでした。

吉泉結果的にビジョンは浸透しましたか?

吉峰 和寿吉峰だいぶ浸透してると思えますね。
新卒採用もやってるので、理念共感型の人材も集まってきています。
でもまだまだですよ。これはもうとことん伝えていくしかない。会社の仕組みはそういう風に作っていくしかないと思っています。

社長になってから一番嬉しかったことは?

吉峰 和寿吉峰「一番」と言うと難しいけど、最近ですと、新卒の子達がうちの会社に入って「毎日が楽しい」って言ってくれていることですね。

同じ新卒でも、他社に入った子達で「もうやめたい」とか「会社行きたくない」とか言ってる友達もいるらしいです。その中で、うちの新卒の子が「こんなに楽しくていいの?」みたいな感じのことを言ってくれるのを聞くと本当に嬉しい。
「入社して良かった」系がいちばん嬉しいかな。それは社長として一番嬉しいかもしれない。これがね、1年目じゃなくてもね、10年20年経っても言ってくれるようになると良いですね。

あとは、お客さんから褒められたとか、表彰されたとか。
お客さんの開発部門の中で、うちの開発チームが一番優秀だったから表彰貰えたとかは嬉しいです。

社員が褒められるとやっぱり嬉しいですね。

オフィスのおしゃれさにビックリ。漫画やフィギュアなど、まさにクリエイター空間でした。

吉泉今でも社員はみなさんエンジニアの方なのですか?

吉峰 和寿吉峰エンジニアですね。
僕と事務、バックオフィスとあとデザイナーひとり以外は全員エンジニアです。営業はゼロ。お客さんは、ほぼリピートだけです。

吉泉それも御社の信頼ありきってことですね。

吉峰 和寿吉峰そうですね。信頼は非常に大切にしています。その辺のマインドの教育は徹底しています。

顧客、クライアントって我々に期待しかしていなくて、何をお願いするにしても失敗するイメージは持っていないし、様々な面で期待をしています。
それに対し「全部に応えろ」って言ってます。お客さんの期待にはすべて応えろと。まずはそこから。

だってお金払ってるのはお客さんなので。自分がお金を払ってるのに、買った商品とかサービスがいまいちだったら不快でしかない。
だからお金を頂くのであれば、それ以上の価値を出すべきです。

社長として一番大切にしていることは?

吉峰 和寿吉峰僕が大切にしている言葉3つで言うと、「笑顔」「思いやり」「導く」。

「笑顔」は、人を笑顔にしたいということ。
楽しい会社にしたいっていう想いもあります。自分に関わる人はみんな笑顔でいてほしいよねっていう感じ。
だから自分もいつも笑顔でいようと心がけています。社員も笑顔になってほしいし、クライアントも笑顔になってほしい。

「思いやり」はやっぱり、仕事の根本的なところが僕は「思いやり」なのかなって思う。
相手の気持ちを察しなさいっていう感じ。相手が欲していることに応えなきゃねって。

「導く」っていうのが、そういう「会社」や「社会」をつくっていきたいということ。
笑顔がいっぱいで思いやりのある人が多い社会に向かって、少しでも周りを引っ張っていければいいな、と強く思っています。

終始優しい微笑みでご対応いただいた吉峰さん。ありがとうございました!

今後のビジョン、目標

吉峰 和寿吉峰個人的なものですと、せっかく社長をやっているからには拡大させたい、っていうのはあります。
具体的には、社員数300人、売上高100億円の会社をつくろうと思っています。

それをどのように実現するかという点については、端的に言うと「中小企業版のアクセンチュアになろう」と言っています。
要は、経営戦略から入っていくということ。

中小企業って結局ITリテラシーも低いしなかなかIT化も進まない、DXも起こらないみたいな感じなんですね。
でもそういう会社はアクセンチュアさんに発注できないんですよ。高いから。

「より多くの人を笑顔にしたい」となったら、日本は中小企業が99.7%なので、そこ救いたいって思っています。
中小企業の経営の戦略からひっくるめてサポートし、最終的にシステム開発もするような、そういう会社で社員数300人売上高100億円の会社にしたいと考えてます。

ゆくゆくは「中小企業のサポート」「自社サービス」、そして「いまのSI(システム開発)」っていう3本で会社を盛り上げたいです。

社長になりたい若者へメッセージ

吉峰 和寿吉峰「社長になりたい」という気持ちはすっごいわかる。
かといって、簡単に成功する方法なんてないんですね。簡単に成功するならみんなやってる。

ホリエモンが「人が面倒くさいと思うことをやり続けるから成功するんだ」って言ってたんだよね。「みんなが最短距離で成功しようと思うけど、そんなのあり得ない。嫌なことをひたすらやり続けることが大事。」と言っていたので。まあそうだよね、と。

とにかく何でもいいけど、人がやらないことを続けることかな。

吉泉人がやらないことを続ける、ですね。

吉峰 和寿吉峰そうそう。じゃないとすぐ追いつかれちゃうし。
例えば何かのビジネスで成功しても、大手やら資金があるところが入ってきたら簡単にまくられちゃうわけで。

なのでやりたくないことこそやり続けろと。そしたらいつか成功する。

吉泉吉峰さん自身もそういった経験があったんですか?

吉峰 和寿吉峰まったくないです(笑)

でもどうだろう、それ言ったら嘘だな。
お客さんから要望されたことでやりたくないことたくさんあったけど、ボロクソに言われながら徹夜してでもやり抜いてはいたかな。それが僕ができることだったので。

吉泉そういった経験が今のお客様の信頼とか、そういうところにつながっているっていうことなんですよね。

吉峰 和寿吉峰そうだね。
それは一番大事。あとは「踏み出すこと」だろうね。踏み出す勇気。決める覚悟っていうのかな。

「決断」と言うか「退路を断つ」と言うか。決めたらやりきる、っていうところかな。決めて辞めることは決断とはいわないよね。

吉泉今の時代だと、本やYouTubeで「成功者になれるメソッド」みたいな情報ってたくさん転がってると思うんですけど、それを真に受けて、ちょっとかじってみて気づいたら辞めてる、って経験は自分にも周りにもありますね(笑)。

吉峰 和寿吉峰ですよね。

「TTP」って聞いたことある?「TTP = 徹底的にパクる」。成功の道はそれしかないんだよ。

何かを始めてみて、それを自分なりに「こうした方が良いじゃないか」とかやってるうちはあんまり成功しません。
とにかくパクるのが大事。まずが全く同じことをしましょう。実際に1回やってからアレンジするのは良いけど、初回からアレンジすると多分続かない。パクりきるって決めることが重要です。

吉泉「TTP = 徹底的にパクる」を肝に銘じて、今後何か成し遂げてみようと思います。

吉峰 和寿吉峰頑張って(笑)