起業したきっかけは何ですか?
竹川僕は元々柔道整復師という国家資格を持っていて、整骨院で保険の適応するような治療を行っていました。
保険適応する治療って基本10〜15分くらい、長くて1時間くらいのマッサージで、患者さんと接する時間がすごく短かったんですよね。
そんなに頻繁に通ってもくれないので、運動要素や食事の指導ができなかったり、日常生活のアドバイスとか生活改善まで時間をかけて行えませんでした。
その中でお客さんから「トレーニングもできるようなところが欲しい」という要望があり、トレーニングの知識もあったので起業しました。
なので「利己的」な考えで起業したというより、どちらかと言うと「利他的」な考えで、お客様の欲しているものを提供したいと思い起業したのがきっかけですね。
吉泉なるほど、より深くお客様の健康に関わりたいと思われたのですね。
竹川そうですね。
「マッサージ」って健康に対してすごく大事なものだけど、それと同時に体を動かして筋力つけたりする「トレーニング」を同時にしなければ、体の機能を向上できないんですよね。
仮に僕がマッサージするだけで筋肉が着くなら「どうぞ並んでください!」って感じで、いくらでもそうしますけど、そうはいかないので(笑)
なので本格的にトレーニングができ、かつケアもできる、そしてしっかり時間をかけて話もできる場所を作りたくて起業をしました。
吉泉私のイメージだとパーソナルジムって、「筋肉を付けたい人が通う場所」と言うイメージだったのですが、どちらかと言うと健康体を作りたい人が通うような場所なんですね。
竹川そうですね。
今コンテストやSNSがすごく流行っているから、「かっこいい体」や「綺麗な体」の人が情報として入ってきやすくなっていますよね。
だからパーソナルトレーニングは「コンテストに出るようなムキムキな人や、スラっと綺麗な体の人を作り上げるところだ」と言うイメージを持たれている方が多いのですが、実際は「健康になりたい」とか「病気を治したい」というニーズが多いです。
その上で、体が綺麗になってきた人やかっこよくなってきた人がもう一段階ステップアップして、より良い体を求めることは多いですが、経営者層のような忙しく時間が取れない人がカッコイイ体を作ることはなかなか難しいです。
ですので「カッコイイ体」を目指すよりも、「健康的に仕事をしたい」と思う人が多いこともあり「健康」を軸にしたパーソナルジムにしたいと思っています。
起業した理由は他にもあって、整体師やパーソナルトレーナーの方達は、当時報酬がめちゃくちゃ低かったんですよね。
大手のところでも20~30万円の人たちが凄く多くて、そこで働いてもらう人達の報酬の上限を変えたいと思いました。
ですので、まとめると「お客さんとスタッフさんの条件を向上させたい」と思ったのが起業したきっかけになりますね。
社長になって一番苦労したことは?
竹川全部ですね(笑)
苦労というよりは「考えること」が多かったです。
それを楽しめる性格だったから今までやってこれたかな、というのはあります。
何か困難があった時に「どう打開するか」「どうやったら乗り越えられるかな」というのを考えることで、よりステップアップできる要素が増えていく、と考えてました。
そう言ったところは、スポーツをずっとやっていたことと性格的にかなりポジティブだったことが幸いでした(笑)
まぁ、全部とは言ったものの、実際一番苦労したのは「一番最初の集客」ですね。
店舗の立ち上げ時、「立ち上げてよ」って言ってくださった方(起業のきっかけとなったお客さん)が、「他のお客さんも紹介するよ」とも言って下さっていました。
なので集客はそんなに困らず行けるかな〜と思っていたのですが、実際フタを開けてみるとそんなことはなく。
整体とトレーニングどちらもやっていたのですが、両方ともお客さんが少ない状態で、スタッフさんも集客のノウハウがあるわけではなかったので、どうするかというのをめちゃくちゃ考えました。
そこからがちょっと大変で、深夜までチラシを配ったり、色々なテストをやってより効果のあるものにお金を投入したりと。
本当に日に日にお金がなくなっていって「これはやべえな」って思った時期もありましたね。
けど、努力していった結果、回り始めたタイミングがきて、今は自動で回るようになり安定した会社にはなってきました。
当時の「お金を毎日減っていく」「お客さんがどうやったら来るかわからない」という状態を乗り越えたから今があるなと思っています。
仮に会社の資金が10万円くらいになっても成功するんじゃないかな。というわけ分からない自信はあります(笑)
吉泉凄くポジティブですね!
社長になってから一番嬉しかったことは?
竹川結構あるけどなあ、、
一番嬉しかったのは、「会えないような人とも会えるようになったこと」かな。
僕は、社長だからこそスタッフさんがしっかり稼げるように、「足を使って動く(人と積極的に会う)」ということを意識してきました。
その中で、自分が動くからこそ会えるような方々、プロスポーツ選手やモデルさん、芸能人の方、上場企業の社長さんや取締役の人だったりと出会い、その人たちの価値観を聞けるというのが自分にとって凄く勉強になって、そういう話を聞けるのがめちゃくちゃ嬉しいことですね。
そうやって自分の価値観や考えを広げてくれる人たちと会うと、今まで接していたお客様にも、よりこの人を大事にしたいなとか、この人のためになんかしてあげたいなと思えるようになりました。
会社を立ち上げた当初は利己的な考えもあったんだけど、色々な人と出会い他のお客さんに対して「良いサービスになるかな」「癒される場所になるかな」「かっこいい自分になれる場所になるかな」とより深く考えるようになりました。
なのでそういう出会いがあるというのは本当に一番嬉しいことですね。
吉泉これまで出会った人の中で、「この人の言っていることが刺さったなあ」と思ったエピソードがあったら教えていただきたいです!
竹川そうですね、、
「利己的と利他的の違い」という考えを教えてもらったことで、「自分達は、お客さんがいてその人達が自分達のサービスを気に入ってくれてお金を支払ってくれるから、自分達がご飯を食べることができたり、好きに旅行に行くことができる」というところを教えてもらったことがありました。
その時はハッとさせられましたね。
「利他的に生きる」というのは言葉で言うと簡単なんですが、意識できない人は多く、「金銭欲」「名誉欲」というところで動いている社長はとても多いですね。
お金貰ってタワーマンション住んで、華やかな飲み会やって、みたいなところに憧れるというのは「利己的」な考えです。
そうではなく、稼いだお金は人のために使うとか、一緒に仕事をする人に対して報酬として支払うとか、そういう考え方だと商売はうまいこと回るし、ファンがついてくるなと思っています。
なのでその「利他的な考え」について聞いた時は意識しようと思いましたね。
吉泉それはちなみにいつのタイミングで聞いた話ですか?
竹川いつだったかなぁ、、最近もそう言った話をしたし、ちょこちょこ出てくる話題なんだよね。
例えば僕の知り合いの経営者や投資家の方々。たまたま「お金を稼ぐため」に投資している人が僕の周りには少なくて、どちらかというとエンジェル投資家みたいな感じで、そのサービスを気に入ったから投資する人とかが多いんですね。
その人たちの話を聞いた時は「これは器が違うな…」と圧巻の思いでしたね。
けどやっぱりそれが全てだと思います。
「利己的」になってしまったらどっかで裏切られたり、お金や名誉がなくなった時に一気に株が下がって自信を喪失してしまう可能性が高いです。それに比べて、「利他的」になり他の人に奉仕していると、辛い時に周りに助けてくれる人がいます。
そういう関係性を作ったりとか縁をもらえるかは、「自分の在り方」で全然変わってくると思います。利己的な人の周りには利己的な人が集まり、利他的な人の周りには人を助けたい人が集まってきます。
ですので、利他的になることで安心感を持ちながら仕事をできるし、社会貢献しながら仕事をできているという実感が湧いてきます。
吉泉なるほど、人との繋がりは凄く大切なんですね、、
竹川めちゃくちゃ大事ですね。
社長として一番大切にしていることは?
竹川ご縁を大切にすることですね。あとはお金の使い方です。
やっぱり稼いじゃうと遊びにでもなんでも使えるけど、本当に使わなければいけないところはどこなのかを、しっかり考えて使わなければいけないと思います。
うちはスタッフさんが何人かいて、働いて稼いでくれているお金があるのですが、「自分が集客して稼がせてやっている」というマインドを持つことは凄く簡単です。ただ、そうじゃなくて「スタッフさん達が稼いでくれている」と会社の共有資産だと思って、その人達がより活躍できるところや、ブランド力が上がるところにお金を使うと、その人達がより活躍してくれます。
そしてその使ったお金というのが、その人とお客さんの縁を生み出し、ファンとなってくれたお客さんも喜ばせることができ「幸せの連鎖」が生まれます。
ですので、そこを意識して「自分に使うお金」は極力下げ、スタッフの方々にお金を使うようにすることを大切にしています。
吉泉なるほど、、
縁とお金の使い方が大切なんですね。
竹川大切ですね。
飲み会に行ってパッとやるのは簡単ですけどね。綺麗なお姉ちゃんのところ行ったらおすぐ金飛んで行っちゃうから(笑)
ただ、「縁」の中でも付き合う人は選んだほうがいいかなって思っています。
僕も最初会社を立ち上げた時は、ほぼ毎日人を紹介してもらうための飲み会に出向いてました。
しかし、そういう場で会う人とはあんまり長続きしなかったり、自分にとって得がないような薄っぺらい関係しか築けないんですよね。
これもさっき言った話と通じていて、お客さんが欲しいから飲み会に行くというのは結局「利己的」な考えなんですよね。
それと逆に、本気で体を元気にしてあげたい、綺麗にしてあげたい、かっこよくしてあげたいと思い出会った人は長い付き合いになることが多いです。
ですので、今となっては知らない人がたくさんいる飲み会には一際行かなくなりました。
出会う「場」とか出会う「人」というのはしっかり自分で選んでいかなければ、ただ時間とお金を浪費することになってしまいます。
それよりかは、本当に自分にとって大事な人がいるところに「時間」と「お金」を使うのがめちゃくちゃ大事かなと思います。
今後のビジョン、目標
竹川会社としては、駒沢にトレーニングジム、整体院1店舗ずつあり、あとは、都立大学に1店舗あるので、これをスタッフの人たちに全部渡したいと思っています。
つまり自分は手放したいと思っています。(笑)
「手放したい」と言うと軽く聞こえちゃいますが、要はスタッフさんが全部自分で回せるようになって欲しいというのが一番目的としているところです。
さっき言った縁を作るといったところも、ずっと店舗にいるスタッフさんで苦手な方も多いので、それを自分達でできるようになってもらって、本当に大切な縁を作れる人になってほしいと思っています。それができるようになったら、現状僕が集客をやっていますが、そこも含めお店を一人で全部回してもらいたいです。
そして今後、自分で抱えた店舗を自分の箱にして、僕と対等な立場として一緒に仕事をしてそこからさらに縁を生み出していきたいと考えています。
あとは、僕は出張で色々なところにいるのですが、体で困っている人達で、本当に健康を意識してる整体師やトレーナーと向き合っている人が少ないので、「本物」を知ってもらう、という活動をしていきたいと思っています。
僕は今少し高めの金額でやっていますが、金銭的に受けられない人に対しても将来的にはお金のことを気にしないで施術を受けてもらえる状態にしていきたいです。
そうすることで、嘘っぱちでやっている整体師やトレーナーを、できるだけお客さんの選択肢から除外することができると思います。
本気でやっている人もたくさんいるのですが、利己的に考え金儲けのためだけにやっている人もすごくたくさんいて、それが嫌なんですよね。
他人の体に合法的に触る職業って凄く特殊で、そういう職業の人に頼むと本当に健康になれるんだな、必要な職業なんだな、というのを実感してほしいと思っています。
最近、整体師の方がセクハラまがいのことをして逮捕されていましたよね。そういうニュースを聞くと本当に残念です。
実際、モチベーションも低く技術も伸ばそうとしない、お客さんのことを考えない整体師やトレーナーもいるから、そういう人たちを選択しないお客さんたちを増やしていきたいですね。
正しく健康になれば病院に行く必要がなくなり、医療費をいくらでも下げられます。
そうすれば他のところに時間もお金も使えるから、人として凄く幸せになれると思うので、そういうことをやっていきたいなと思っています。
吉泉僕も野球をやっていたのでたまに整体に行っていたのですが、竹川さんの考えが広がると、整体師に対するお客さん目線の安心感が段違いに変わりますよね。
竹川近くにいてくれたり、話を聞いてれるだけでも安心感は全然違うと思います。
けど実際、整体師はまだまだ遠い存在だと思っていて、本当の意味で近くにいる感じがないかなと僕のなかでは思っています。
治療を受けたことのない人もたくさんいるし、治療せずとも、ただ話だけを聞いてもらうだけでもある程度自分で健康をコントロールできるようになるんだけど、そういった情報を整体師が持ってるということすらも知られていないのが現状で、その辺りをもっと変えていきたいと思っています。
みんなすぐ病院に行って薬をもらってしまうのですが、もっと自分の体を信じて、免疫力を上げて自分の体のレベルを上げていけば、健康はいくらでも維持できるんですよね。
ただこの発想がまだ普及していないので、これが広がっていく世の中にしていきたいですね。
社長になりたい若者へメッセージ
竹川なぜ社長になりたいかは、本気で考えて欲しいと思っていますね。
金銭欲や名誉欲を満たすために社長になることは非常に簡単ですが、それを続けると虚しくなってくるので、「誰のために社長になるか」を考えて欲しいと僕は思っています。
意外とここを考えない人が多いですよね。「これが得意だからこれで儲けよう」とか、「IT儲かりそうだからこれで稼ごう」とか、自分ベクトルで社長になりたい人が多いです。
そうではなく「誰のために自分の力を提供できるか」を考え、その上で「社長になりたい」「社会貢献したい」というのを考えて社長になって欲しいかなと思います。
そうじゃなければ、先程言ったお金の使い方、時間の使い方が自分本位になってしまい本当に自分のことを助けたり、幸せにしてくれるような人が周りからいなくなってしまいます。
お金に人は寄ってきますが、なくなったら居なくなってしまうので、、それで本人が幸せならいいんですけどね。
吉泉正直、誰のためにというのは1ミリも考えたことがありませんでした、、
竹川20代だったらそれでも楽しいと思いますよ。
お金が一気に入ってきて、毎日クラブ行ったりクルーザー借りてどんちゃん騒ぎできるので(笑)
男性は40代まで体力があるので、その時点で社長をやめるという考えならそれでいいと思います。
ただ、ずっと社長をやり、その地位を大切にしていきたいのであれば、最初から「誰のため」というのを意識しなければ長続きしないし、体力的に辛くなった時に本当に気持ちが辛くなると思いますよ(笑)
そして気付いた時には周りに人が居なくなっていると思います。社長は孤独なので(笑)
吉泉社長は孤独なんですね、、
竹川孤独ですね、基本的に社長は会社に一人しかいないので。
利己的な社長には、利己的な部下がつきます。
「この人蹴落として出世しよう」とか、「こいつより報酬もらうためにはどうしよう」とか考える部下です。
サッカーでいうと「パスを全く出さない選手が11人いる」ような状態です。
こういうチームってめちゃくちゃ堅苦しいし、ギスギスするし、暴言も出てくると思います。
それに、内部がこうなると外部のお客さんを無視してしまう結果になってしまいます。
だからこそ、社長が「誰のために」というのを意識することができると、社内の人間一人一人が誰のために頑張るのかを考え、魅力的な会社になって行くと思います。
吉泉僕の中で「誰のために」を最重要テーマで考えようと思います。